何も起こらなかった小石川の化物部屋
どんな伝承か
著者が藤村詩集の一件を経験した小石川の家には納戸があり、そこは化物部屋といわれていた。旧主人がその中で自殺したという話があり、その柱に髪の毛がついていたことがあるなどとも語られていた。著者はその襖一重を隔てた隣室に一年ほどいて、何か音でもするかと注意していたが、何事も起こらなかった。著者は、家屋や建具の構造などで怪しく思われる音が生じるのは自然で、それが異常な事件のあった家と結びつけられれば化物屋敷になるのは自然の筋道だとしつつ、それでも化物屋敷なるものが無いとは決めがたいと述べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
科学的教養(小泉丹・小泉丹・科学論・1948年(昭和23年))
『科学的教養』は、小泉丹が昭和二十三年に春秋社から刊行した、科学的なものの見方を説く評論である。精確さ・合理性・実証の面から科学的と非科学的の違いを論じ、河童の記録や呪いの効き目、『耳袋』の怪異談、狐憑き、幽霊・化物屋敷、人魂・鬼火・怪火を例に、日本人のものの考え方を検討する。昭和十七年に書いた前版を戦後に改稿したもので、序と起序に続く七章から成り、旧稿の終わりの二章を除いたと序に記す。