何も起こらなかった小石川の化物部屋
どんな伝承か
著者が藤村詩集の一件を経験した小石川の家には納戸があり、そこは化物部屋といわれていた。旧主人がその中で自殺したという話があり、その柱に髪の毛がついていたことがあるなどとも語られていた。著者はその襖一重を隔てた隣室に一年ほどいて、何か音でもするかと注意していたが、何事も起こらなかった。著者は、家屋や建具の構造などで怪しく思われる音が生じるのは自然で、それが異常な事件のあった家と結びつけられれば化物屋敷になるのは自然の筋道だとしつつ、それでも化物屋敷なるものが無いとは決めがたいと述べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
科学的教養(小泉丹・小泉丹・科学論・昭和(戦中))
生物学者・小泉丹『科学的教養』(戦中刊)。国民の科学性とは科学知識の普及ではなく科学的態度であるとし、科学的・非科学的の境界を吟味したうえで、怪異談を科学的に検討する。