本飯豊川の河童の恩返し
どんな伝承か
庄屋の十郎兵衛が夜遅く坂東内の橋の上手の道を帰って来ると、川の中から呼ぶ声がした。この川に棲む河童だが、川の中に網のようなものがあって家に帰れない、どうか取り除いてくれという。庄屋は、それならこの川で人が溺れないよう何事があっても守れと約束させた。翌日人を頼んで川に入ってもらうと、光るマンガが藪に引っかかっていた。それを取り除いてやってからは、本飯豊川で溺れる者は一人もいなかったという。川の中には下方に穴のある大石があって河童の住み家といわれたが、改修のときに取り去られた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
小野町史 民俗編――伝説(小野町(編)・小野町史)
『小野町史 民俗編――伝説』は、小野町が編んだ町史の民俗編から、第九章「ことばと伝承」の第一節「伝説」を収めたものである。田村郡小野庄にあたる町内の館主や城主の没落、坂上田村麻呂や八幡太郎、小野篁・小野小町にまつわる話、デンスケ坊の祟り、河童の恩返し、大蛇や名石・埋宝の話など五十四編を、大半は地元の人からの聞き書きで収める。村川友彦の「はじめに」と地域の特色の解説を置き、伝説を大字(旧村)ごとに並べ、語り手の名を添える。