湧き水を飲みに抜け出た青い火の玉
どんな伝承か
文政年間のこと。肥前平戸の藩士泥谷某が、ある夜、一人の僕に船を漕がせ、平戸の海上中里ばかりの沖合に出て流し釣りをしていた。僕は非常に喉が渇き、彼方の山の麓の湧泉を飲みたいから船を寄せてくれと頼んだが、今が肝腎な汐合だと許されなかった。僕が櫓を握ったまま居睡りを始めると、その鼻の孔から鶏の卵ほどの青い火球が出て、空中をフワーッと飛んで陸地の岬の方へ行き、しばらくして戻り、元のように僕の鼻の孔へ入った。目を覚ました僕は、夢に岬の泉へ行って思うさま水を飲み、渇きが止んだと語り、泥谷某は気味悪がって釣りをやめ船を漕ぎ戻させたという。
原典より
やがて鼻の孔から、鶏の卵ほどの大さの青い火球が出て来た。—— 心霊不滅(岡田建文・岡田建文・心霊研究・1940年(昭和15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊不滅(岡田建文・岡田建文・心霊研究・1940年(昭和15年))
『心霊不滅』は、岡田建文が著し、昭和十五年に大阪の国民書院が発行した心霊研究書である。人の心霊は肉体の死後も存続するという立場から、神道の神霊の垂示を引きつつ、心霊の本質と「化精」、遠感と魂の遊離、生霊、二重体、交霊術と霊媒、霊感筆記、幽霊写真などの物理現象、幽霊の出現を論じる。序説と七章からなり、第三・四・五・七章に「例一」「例二」と番号を付けた事例を並べ、今昔物語の説話、江戸から昭和の国内の見聞、欧米の報告を挙げる。