子供と煎餅を交換する白狐
どんな伝承か
岩手県九戸のアラズマイ平にいるという白狐は、村の子供たちとたいへん仲がよく、よくいっしょにその平で遊んでいた。学校へ通う子供たちを誘っては、子供の弁当と自分の煎餅を取り換えたともいう。跳びはね方を教えたばかりか、勉強まで見てやったと伝えられる。この白狐が渡す煎餅は本物で、大人を化かして銭を巻き上げ、あるいは化かして煎餅を焼かせたものだという。狐には人を助けたり、こうしたユーモラスな一面もあるとされる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
暮しの中の妖怪たち(岩井宏実・岩井宏実・民俗学・1986年(昭和61年))
『暮しの中の妖怪たち』は、岩井宏實が昭和六十一年に著した妖怪の概説書である。鬼・天狗・河童から山姥、産女、雪女、怪火、ザシキワラシ、化け猫、狐狸、幽霊まで、各地の伝承や古典・絵画に見える妖怪を一つずつ取り上げ、その姿と仕業を説く。第I章で個々の妖怪を紹介し、第II章で妖怪の性格、出現の空間と時、正体を論じ、巻末に著者が資料とした妖怪の本の一覧とあとがきを置く。