来客の背に見えた白狐の白菊様
どんな伝承か
二月初めの肌寒い昼下がり、編者の前田博が妙尊寺に慈雲を訪ねてきた。背が高く飄々とした青年で、慈雲は昼間から酒を酌み交わそうと弟子たちに支度を命じた。庫裡の客間で宴が始まろうとしたとき、慈雲の目には、前田の背後に重なるように、真っ白な尾を頭上高く掲げてゆらゆらとなびかせる白狐の姿が映り、それを守るように幾体もの霊体が揺れていた。ふだんは見えても口にしない慈雲だが、その姿があまりに立派で、思わず白狐様がお憑きですねと漏らした。前田は平然と、白菊様とお呼びしていると答え、守護神に御神酒をと望んだので、清酒をなみなみと注いだグラスを卓に供えたという。
原典より
普段は観えても言葉に出す事は滅多にしない私だが、中心におられる真白なお姿が余りにも立派であったので、「ご立派な白狐様がお憑きですね」と、つい漏らしてしまったのである。—— 日本の霊能者(前田博(編)・日本の霊能者) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の霊能者(前田博(編)・日本の霊能者)
『日本の霊能者』は、前田博が編んだ霊能者たちの寄稿集である。広瀬謙次郎の霊夢による予言、慈雲の神々の集会、佐藤妙栄の因縁解脱、松原照子の大予言、永田光麗の十言神呪、久遠あやの神々の警告、宮下文智の神霊治療、鶴田照子の鎮魂など、霊能者たちが自らの霊的体験や修行、予言を語った文章を収める。各寄稿の後に編者による人物紹介を付し、その間に編者の随想「霊能者のひとりごと」と、田口日勝へのインタヴューを挟む。