祀らずとも便所にいると信じられた神
どんな伝承か
大塚町では、昔は便所にも神を祀っている家があったという。今ではあらためて祀ることはないものの、便所には神がいるという意識は残っており、正月になると供え物をあげる家がある。この土地では屋敷の内にも家の中にも多くの神が祀られ、荒神や井戸端の水神のほか、台所には米の神である大黒さんが、竈の上には火の神さんが据えられていて、便所の神もそうした屋内の神々の一つに数えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
島根県出雲市大塚町民俗調査報告書――俗信・憑きもの(出雲市(編))
『島根県出雲市大塚町民俗調査報告書――俗信・憑きもの』は、出雲市大塚町の民俗調査報告書のうち、「XII 村の神」の章と「XIII 年中行事」の章の冒頭を収めたものである。氏神の大歳神社の祭りと由緒書、同族神・屋敷神・屋内神、札うち、講、寺、俗信、キツネに憑かれることを「サバラレル」と呼ぶ憑きもの、民間療法を、昭和五十七年ごろの聞き書きで記す。年中行事は正月準備から一月十一日の鎌初めまでで、文の途中で切れている。