大火の風向きを変えた札うちの青竹の杖
どんな伝承か
出雲の三十三ヶ寺をめぐる札うちでは、節が七つある青竹の杖をついて歩く。一番上の節から先は十センチほど空けておき、そこに観音の御利益が入るようにと願うのだという。打ちおさめの寺で杖を洗い、札を巻きつけて納めるのが決まりだが、この杖は火難除けの守りになるといって家へ持ち帰り、床の間に飾る者もいた。十年ほど前、今市に大火があったとき、ある人がその杖をかざして振ったところ、にわかに風向きが変わり、火は燃え移らずにすんだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
島根県出雲市大塚町民俗調査報告書――俗信・憑きもの(出雲市(編))
『島根県出雲市大塚町民俗調査報告書――俗信・憑きもの』は、出雲市大塚町の民俗調査報告書のうち、「XII 村の神」の章と「XIII 年中行事」の章の冒頭を収めたものである。氏神の大歳神社の祭りと由緒書、同族神・屋敷神・屋内神、札うち、講、寺、俗信、キツネに憑かれることを「サバラレル」と呼ぶ憑きもの、民間療法を、昭和五十七年ごろの聞き書きで記す。年中行事は正月準備から一月十一日の鎌初めまでで、文の途中で切れている。