盗人の足を止めた阿弥陀の掛軸
どんな伝承か
大船渡町の新沼茂雄氏宅に言い伝えられている、あみださまの掛軸の話である。この家では昔から朝夕欠かすことなく掛軸を礼拝しており、家が火事にあったときも掛軸だけは無事で、家の後ろにある椿の木の枝にかかっていたという。その後は仏壇に安置していたが、家人の眼を盗んでこれを持ち出した乞食があった。大騒ぎになって方々を探すうち、永井沢を通った人が、道の傍らで歩くことができずもがき苦しむ乞食を見かけた。行ってみると思ったとおりで、盗んでいないと言い張るので体を調べると、懐から巻いた掛軸が出てきた。掛軸が家人の手に渡るやいなや、乞食の足は立ち、逃げ去ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説(大船渡市(編)・大船渡市史)
『大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説』は、大船渡市が編んだ市史の民俗編である。この写しには、第六章「俚諺・俗信」の軽口・地口の類と、天候予知や吉凶の前兆、禁忌、呪法などの俗信、第七章「伝説・昔話」のうち伝説の節を収める。伝説は木・石、山、坂・洞穴・塚、水部、長者旧家、社寺・堂閣、地名などに分けて、五葉山や日頃市・末崎など市内各地の言い伝えを並べる。