水より福を汲めと唱える元旦の若水汲み
どんな伝承か
元旦の朝、六時ごろに起きて宮参りをすませると、戸主か女の者が注連縄を井戸へ持って行って飾り、祓いをしたうえで、年神さんが来る方角に向かって手を合わせる。そして、年の始めに若水汲まば、水を汲むより福を汲め、福を汲め、と唱えながら水を汲みあげた。この水は持ち帰って茶釜に入れ、茶を沸かす。これを福茶といい、家長を先頭に右まわりで椀をまわし、茶菓子とともに飲んだ。水道が引かれるより前まで続いた行事である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
島根県出雲市大塚町民俗調査報告書――俗信・憑きもの(出雲市(編))
『島根県出雲市大塚町民俗調査報告書――俗信・憑きもの』は、出雲市大塚町の民俗調査報告書のうち、「XII 村の神」の章と「XIII 年中行事」の章の冒頭を収めたものである。氏神の大歳神社の祭りと由緒書、同族神・屋敷神・屋内神、札うち、講、寺、俗信、キツネに憑かれることを「サバラレル」と呼ぶ憑きもの、民間療法を、昭和五十七年ごろの聞き書きで記す。年中行事は正月準備から一月十一日の鎌初めまでで、文の途中で切れている。