稲を倒して通った沼の主の蛇の恋
どんな伝承か
現在の草加市新栄町にあった新兵衛沼の主も、大蛇だったという。赤芝新田の沼で切られ、頭の骨が安行領家の弁財天に祀られた蛇と、この新兵衛沼の蛇とは恋仲だったらしい。いつのことかはわからないが、夏の暑い盛りに百姓が田の草取りに出ると、青田の稲が何かを引きずったように一筋倒れ、隣の田からさらにその先の田へと跡が続いていた。村人は、弁財天の蛇が新兵衛沼の主のもとへ通った跡だろうと恐れた。弁財天の蛇が雄、新兵衛沼の蛇が雌だといわれていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
川口市史 民俗編――伝説(川口市(編)・川口市史)
『川口市史 民俗編――伝説』は、川口市が編んだ市史民俗編のうち、第四章「伝説」を収めたものである。六兵塚や首塚などの塚、山・池沼・樹木にまつわる話、八百比丘尼の椿、神社・地蔵・観音・薬師の霊験、地名の由来、正月の餅を搗かない家例や蛇まつり、川口の鋳物の始まりなどを、地内の地名や家名とともに記す。自然伝説、信仰伝説、歴史伝説の三節に分け、節の中を塚・山・池沼などの項に立てる。