息を吹き込むかわらけ地蔵と耳の病
どんな伝承か
安行慈林の慈林寺の境内、薬師堂の左隣の小さな祠に祀られた地蔵は「耳の地蔵」と呼ばれ、耳を患ったときに参ればすぐ治るという。堂内には素焼きの土器であるかわらけがたくさん供えられていて、その一枚を借りて帰り、中央の小さな穴に口をつけて息を強く吹き込むと耳の病が癒えると伝えるので、かわらけ地蔵の名がある。治ったら借りたものに新しい一枚を添えて礼参りをする。かつては数えきれないほどあったかわらけも、戦後は手に入りにくくなって次第に減ってしまった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
川口市史 民俗編――伝説(川口市(編)・川口市史)
『川口市史 民俗編――伝説』は、川口市が編んだ市史民俗編のうち、第四章「伝説」を収めたものである。六兵塚や首塚などの塚、山・池沼・樹木にまつわる話、八百比丘尼の椿、神社・地蔵・観音・薬師の霊験、地名の由来、正月の餅を搗かない家例や蛇まつり、川口の鋳物の始まりなどを、地内の地名や家名とともに記す。自然伝説、信仰伝説、歴史伝説の三節に分け、節の中を塚・山・池沼などの項に立てる。