光圀の歌を継いだ身隠山の美女
どんな伝承か
瑞竜町の身隠山には、かつて五輪の石塔を備えた小さな塚があったが、いまは石塔も塚も失われている。義家の伝説で名高い旌桜寺の桜を光圀が見物していたとき、村には珍しい十八、九歳ほどの美しい娘が現れ、枝に短冊を結んでどこかへ去った。光圀がそれを手に取ると、上の句だけ詠んで苦心していた歌の下の句が記されていた。家来に娘を探させたが行方は知れず、娘が身を隠したことから「身かくし山」の名が生まれたという。この娘は小町塚から抜け出した小野小町の亡霊だろうとも言われる。
原典より
またこの美女は小町塚から脱け出した小野小町の亡霊だろうといわれている。—— 常陸太田市史 民俗編――伝説(常陸太田市(編)・常陸太田市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
常陸太田市史 民俗編――伝説(常陸太田市(編)・常陸太田市史)
『常陸太田市史 民俗編――伝説』は、常陸太田市の市史民俗編のうち、第五章「ことばの伝承」の伝説と昔ばなしの部分である。第一節「伝説」は市域の伝説を自然的伝説・社会的伝説・歴史的人物伝説・信仰的伝説の四つに分け、国見山・赤沼・源太郎狐・十王坂・舞鶴城・義家・親鸞・徳川光圀・真弓山の天狗などの話を記す。社会的伝説には地名のいわれや塚・城跡の伝承が多く、第二節「昔ばなし」は冒頭の三話だけを収める。