年に三度実った親鸞の焼き栗
どんな伝承か
平林の西原の墓地にあったという栗の木の話。地面に近いところから枝分かれした背の低い木で、一年に三度も実を結んだ。孝順寺を開いた専念坊という僧が、亡父の年忌に親鸞を招いた。親鸞は数か月この寺にとどまって浄土真宗を広め、帰るときに、途中まで見送った専念坊が焼き栗を土産に持たせた。親鸞はそのうちの一つを取り、自分の教えがこの地で盛んになるならこの栗は年に三度実を結ぶだろうと言って、地に埋めた。そこから育ったのがこの木だという。昭和二十年ごろに枯れ、枯木のまま残っていたが、今は切り株も朽ちてしまった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
平林民俗誌稿(長野県下高井郡野沢温泉村)
『平林民俗誌稿(長野県下高井郡野沢温泉村)』は、野沢温泉村平林の民俗誌稿のうち、第十三章「口頭伝承」の部分である。昔話は桃太郎・瓜子姫・ねずみ浄土・三人の継子の四話を土地の言葉のまま記し、話者名と語り口の異なる変型を添える。伝説はどうろさんどの三度っ栗・城の腰・矢石・耳なし地蔵など五話で、この地では昔話と伝説の区別が意識されていないと記し、末尾に細川修の名を置く。