行者とクダギツネの狐憑き
どんな伝承か
長野県諏訪郡原村払沢では昔は行者が多く、荒神様を祀り、中座を立てて祟りや障りを除き、クダギツネのつくキツネツキも祓った。明治四十年頃の話として、怨みを持つ者が近所の行者に頼んで狐を入れさせたことがあったという。憑かれた人は寝込み、枕元に狐の毛が、簞笥に銀色の髭が落ちていた。行者はモリを病人のそばに座らせて幣束を持たせ、祈祷すると幣束が揺れる。狐が乗り移ったとして村はずれの広い所へ持って行き幣束を刺して帰る。これをオフウジという。だがこの行者が狐を入れた張本人で何度も繰り返したため、別の行者に坪千巻の経をあげてもらうと、以後キツネツキの話は聞かなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
払沢民俗誌稿(長野県諏訪郡原村)
『払沢民俗誌稿(長野県諏訪郡原村)』は、長野県諏訪郡原村の払沢の民俗を聞き取りでまとめた民俗誌の稿である。講と信仰、カザキリや厄病除けなどの祈願と呪い、行者と狐憑き、わらべ唄、昔話の語り方、武田信玄の棒道や諏訪明神、デーラボッチ、狐、山犬の伝説、ことわざを収める。章ごとに番号付きの項目を立てて記述し、要所に註を付けて土地の事情や他地域の類例を補い、話者の名と生年を添える箇所もある。