油揚げに鼠取を仕込んだ狐退治
どんな伝承か
卵塔場で二人連れが何かを食べているのを新一が透かして見ていると、体を傾けた拍子に姿は消え、跡には魚の骨のようなものが散らばっていた。家に帰った夜、父の新三郎は隣室でお滝が甘えるように笑う声を聞き、襖を開けると縁側に半裸で肘枕をしている。声をかけると口汚く罵り、突きかかってきたかと思うと寝床に伏して、なんの恨みがあって苦しめるのかと泣いた。翌日、新三郎は下谷の御嶽行者に祈祷を頼み、新一は油揚げ三枚に鼠取を仕込んで卵塔場へ置く。その夜お滝は穏やかに眠り、朝、庇の下に狐が一匹死んでいた。尾の付け根には生々しい傷跡があった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の怪談(田中貢太郎・河出文庫・1985年(昭和60年))
『日本の怪談』は、田中貢太郎の怪談を昭和四十五年桃源社刊『日本怪談全集』から抜き出した文庫本で、昭和六十年十二月に河出書房新社から発行された。「宝蔵の短刀」「八人みさきの話」など土佐の城下や村の話をはじめ、江戸・京・吉野などを舞台にした幽霊・狐狸・猿・魔物の話を、会話の多い語り口で収める。二十七篇の後に尾崎秀樹の解説を付し、高知に生まれた作者の生涯と怪談・妖異譚への傾倒をたどっている。