かにの報恩
どんな伝承か
爺さんと婆さんが京参りに出かけた。その途中、蛇が蟹を捕らえていじめているのに出会った。爺さんは蛇に、そんなことをするな、京参りから帰ったら娘をやると言って別れた。京参りから戻ると、約束通り蛇が娘を取りに来るというので、娘を綺麗な箱に入れて縛っておいた。夜、約束通り蛇が来て、一晩中ガサガサと音がした。夜が明けて出てみると、助けた蟹が沢山の仲間を連れて来て、蛇の体中にとりついて殺していた。箱の周りには蟹の手や足も沢山落ちていた。助けられた蟹が恩返しに娘を助けに来たのであり、娘は無事に助かったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説(香川県(編)・新編香川叢書)
『新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説』は、香川県の叢書の民俗篇のうち、第八編「口承文芸」を収めた部分である。香川県内の昔話と伝説を扱い、昭和初年からの採集の歩み、呼び名や発端・結末の句、桶屋やほうろく売り・遍路などの運び手、語り手の横顔を論じたうえで、綾上町などで聞いた未発表の昔話を話者名付きで掲げる。伝説の章は樹木・石と岩・水と池と渕・塚と穴・祠と堂・坂と山と峠と谷・動物の項目に分け、各話の末尾に伝承地の郡町名を添える。