杉の張り紙で母とめぐりあった良弁和尚
どんな伝承か
子のない者が神に願って授かった子を太郎作といった。六つのとき鷲にさらわれ、どこを捜しても分からない。西国をまわり、近江の国まで来たとき、奈良で立派な和尚になっていると聞いた。祖父は子が居なくなったと聞いて死に、祖母は一人、弁当を持ってあわれな姿で寺を訪ねたが、乞食のような者を和尚に会わせられないと断られた。良弁和尚は毎朝、幼い自分が鷲にくわえられて止まっていた杉を眺め、母を尋ねる貼り紙をしていた。母はそれを見て訪ね、ついに親子は対面できたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説(香川県(編)・新編香川叢書)
『新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説』は、香川県の叢書の民俗篇のうち、第八編「口承文芸」を収めた部分である。香川県内の昔話と伝説を扱い、昭和初年からの採集の歩み、呼び名や発端・結末の句、桶屋やほうろく売り・遍路などの運び手、語り手の横顔を論じたうえで、綾上町などで聞いた未発表の昔話を話者名付きで掲げる。伝説の章は樹木・石と岩・水と池と渕・塚と穴・祠と堂・坂と山と峠と谷・動物の項目に分け、各話の末尾に伝承地の郡町名を添える。