鷺が傷を癒した湯谷の温泉が涸れた話
どんな伝承か
中山の尾路の奥に湯谷という所があり、昔はこの谷に温泉が湧いていた。樵夫が行ってみると一羽の鷺が来ていて、足を痛めている様子で七日ほど湯に浸かって飛び去った。樵夫が薬効のある湯らしいと話したので、村人が足を痛めた牛を連れてきて湯に入れた。すると湯はたちまち土の中に吸い込まれて涸れてしまったという。この湯が伊予の道後に湧き出したのだと伝えられる。
原典より
中山の尾路の奥に湯谷というところがあるが、むかし、この谷に温泉が湧き出ていた。—— 新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説(香川県(編)・新編香川叢書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説(香川県(編)・新編香川叢書)
『新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説』は、香川県の叢書の民俗篇のうち、第八編「口承文芸」を収めた部分である。香川県内の昔話と伝説を扱い、昭和初年からの採集の歩み、呼び名や発端・結末の句、桶屋やほうろく売り・遍路などの運び手、語り手の横顔を論じたうえで、綾上町などで聞いた未発表の昔話を話者名付きで掲げる。伝説の章は樹木・石と岩・水と池と渕・塚と穴・祠と堂・坂と山と峠と谷・動物の項目に分け、各話の末尾に伝承地の郡町名を添える。