柳の精が教えた七ツ井戸
どんな伝承か
秩父市の上宮地から中宮地にかけて、七つの泉が一筋に並んでおり、七ツ井戸と呼ばれる。由来には、弘法大師が水を授けたという話と、柳の精が教えたという話の二つがある。昔この地は水が乏しく、日照りのたびに遠く荒川まで水を汲みに行った。ある樵夫が水を多く含むという柳を伐りに行くと、柳が命乞いをし、今夜訪ねて水の湧く所を教えると言った。その夜、夢に美しい女が現れ、自分の七人の子である小さな柳の立つ所を掘れと告げた。翌朝掘るとこんこんと清水が湧き、七本の柳の下すべてから水が出て、そこを中心に人が集まり町が栄えたという。柳は今の柳田にあったと伝える。
原典より
秩父市の上宮地より中宮地間一筋に七つの泉があります。—— 秩父の伝説と方言 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秩父の伝説と方言
『秩父の伝説と方言』は、秩父市教育長鶴沢福松の序を付し、編集委員が執筆整理にあたって編んだ秩父地方の伝説と方言の集成である。秩父市と秩父郡に伝わる伝説を集め、武甲山麓のジジイ・ババア石、橋立鍾乳洞の悪龍、畠山重忠や坂上田村麻呂にまつわる話、伐ると祟る天狗松などを語り口調で記す。伝説は石・水・塚・屋敷跡・山と人物・地名・社寺および城跡・木に関する八つの部に分け、話によっては他地方の類話を注記する。