玉を取り返して命を落とした志度の海女
どんな伝承か
藤原鎌足の娘は唐の皇帝の妃となり、兄の不比等のもとへ宝玉を届けさせたが、その船が志度の浦にさしかかったとき、面向不背の玉が竜神に奪われてしまった。不比等は玉を取り戻すため志度へ下り、土地の海女と契りを結ぶ。やがて房前という男児が生まれた。不比等が事情を打ち明け、竜宮から玉を取り返してほしいと頼むと、海女はわが子を託して海へ入り、ついに玉を奪い返した。だが玉を隠すため乳房の下を切った傷がもとで命を落とす。不比等は房前を連れて都へ帰り、海女の墓だけが志度寺に残されたと伝わる。
原典より
藤原鎌足の息女が唐皇帝の妃となり、兄不比等の許へ宝玉を送ってくる途中、志度の浦で面向不背の玉を竜神にうばわれてしまった。—— 新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説(香川県(編)・新編香川叢書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説(香川県(編)・新編香川叢書)
『新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説』は、香川県の叢書の民俗篇のうち、第八編「口承文芸」を収めた部分である。香川県内の昔話と伝説を扱い、昭和初年からの採集の歩み、呼び名や発端・結末の句、桶屋やほうろく売り・遍路などの運び手、語り手の横顔を論じたうえで、綾上町などで聞いた未発表の昔話を話者名付きで掲げる。伝説の章は樹木・石と岩・水と池と渕・塚と穴・祠と堂・坂と山と峠と谷・動物の項目に分け、各話の末尾に伝承地の郡町名を添える。