世なおし――おふだが降る家
どんな伝承か
むかし、繁盛してきた家におふだが降ることがあったという。あるとき繁盛してきた家におふだが降り、それを近くの人が見つけて「ここの家にはおかげがおとずれた」と言うと、たくさんの人が集まってきた。家の人は集まった人たちに酒やごちそうをふるまわなければならず、大勢の人たちは三日三晩、「おかげでちょいとせ、ありがたやありがたや」と歌いながら飲み食いして、その家の財をのみたおしてしまったという。話者の祖父の代にも、この「世なおし」をやられたということである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新野民俗誌稿――長野県下伊那郡阿南町(口頭伝承)(湯田朝子(第十五章「口頭伝承」))
『新野民俗誌稿――長野県下伊那郡阿南町(口頭伝承)』は、阿南町新野の民俗誌稿のうち、湯田朝子がまとめた第十五章「口頭伝承」の報告である。昭和五十三年一月に新野の古老五人から採話した昔話・伝説・ことわざ・なぞを収め、昔話には日本昔話名彙・日本昔話集成の話型を注し、伝説は信仰的・歴史的・文芸的の三つに分けて話者の名と生年を添える。昔話の語り始めと語り納めの形式や語りの場の変化も記し、ことわざとなぞで結ぶ。