出雲帰りの大黒が籠から落とす小銭
どんな伝承か
茨城県新治郡のあたりでは、エビス講に商人エビスコと百姓エビスコの二つがあり、商人のほうは十月二十日、百姓のほうは十二月八日の納め八日に行った。エビスとともに大黒も祭り、肴やご飯、銭を供える。二柱の神は出雲へ出稼ぎに行って金を持って帰ってくるといい、家の外に竿を立てて籠をつるし、屋根に立てかけておいた。翌朝、子どもたちがその籠をゆすると、前の晩に家の者が入れておいた小銭が落ちてくる。これを大黒様が落としていったと言って拾うのが楽しみだったという。
原典より
二柱の神が出雲に出稼ぎに行き金を持って帰るとて、屋外に竿を立て、籠をつるして屋根に立てかけておく。—— 日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。