音を立てずにすり合わせる掌
どんな伝承か
生月の集まりで目を引くのは拍手の作法である。手を打つ形はとりながら、掌を合わせるときに決して音を立てず、揉むようにすり合わせるだけにする。床の間の中央にはマリヤの軸を掛け、その下に聖水と、先祖が苦行に用いたという鞭を置いて蠟燭をともす。サンジュワンと呼んで聖水として扱う水、その鞭、ロザリヨの玄義を記した木の小札は、いずれも神道の聖水や御幣、おみくじと同じように、清めや祓い、吉凶を占う道具へと変わっていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。