サンキッチョーに巻かれた空菰
どんな伝承か
谷地の本町から広い田圃を渡って山際へ行くと、三つの部落が連なっている。その一つ高島では、この特異な習俗をはっきり覚えている斎藤清助翁に会うことができた。焼いた骨を菰にくるんで、ハカショの松や杉の樹に下げておく風が、今から五十年ほど前まではあったという。掛けておくのは七日までで、七日に骨は埋めてしまい、その上にサンキッチョーを立てるが、空いた菰はこのサンキッチョーに巻きつけて縛っておいた。石碑を立てるまでそうしておくので、菰が腐ってしまっても石碑の立たないことがあったという。空の菰を樹に吊るす風はその後に生じ、明治末年からその後までも見られたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・1984年(昭和59年))
『霊魂の行方』は、最上孝敬の葬送習俗に関する論説を集め、名著出版が昭和五十九年に刊行した論集である。死者の霊を家から送り出す霊送りやカラダビ、骨掛け、男女別墓制と半檀家、無縁仏、盆と施餓鬼、葬儀の水など、千葉・埼玉をはじめ各地で聞き取った習俗と既刊の報告をもとに論じる。「霊送りとその周辺」「葬送の諸問題」「葬祭の民俗」の三章に二十八篇を収め、巻末に初出一覧、大島建彦の解説、年譜、著作目録を付す。