百ヵ日も吊るされた骨の菰
どんな伝承か
谷地の本町から田圃を渡った山際に連なる部落のうち、高島の西北にあたる沢畑でも、骨を納めた菰を墓地の樹に吊るす風があったと、地主の一人である堀込隆太郎は語る。ここでは吊るしておく期間が長く、四十九日、ときには百ヵ日にも及んだといい、明治四十年頃まではまだ行われていた。さらに西北へ寄った弥勒寺の部落でも、田宮彦右衛門ら二、三人の故老が同じ風を覚えていたが、そちらで樹に掛けておく日数は三十五日か四十九日というのが多かったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・1984年(昭和59年))
『霊魂の行方』は、最上孝敬の葬送習俗に関する論説を集め、名著出版が昭和五十九年に刊行した論集である。死者の霊を家から送り出す霊送りやカラダビ、骨掛け、男女別墓制と半檀家、無縁仏、盆と施餓鬼、葬儀の水など、千葉・埼玉をはじめ各地で聞き取った習俗と既刊の報告をもとに論じる。「霊送りとその周辺」「葬送の諸問題」「葬祭の民俗」の三章に二十八篇を収め、巻末に初出一覧、大島建彦の解説、年譜、著作目録を付す。