耳垂れさんへの娘の願掛け
どんな伝承か
慶福寺裏の山上には明神の道祖神が祀られ、その傍らにもう一体の双体道祖神が立つ。俗に耳垂れさんと呼ばれ、耳の病に霊験があるとされた。昔、軽井川の若者が明後沢の娘と親しくなり、毎晩この道祖神の境内で会っていた。ところが娘が耳を病んで膿が出るほどになると、若者の熱も次第に冷めていった。娘は思いあまってこの神に願をかけ、三年のあいだ餅を断つ、命が二年縮まってもかまわないから耳垂れを治してほしいと、二十一日にわたって祈り続けた。すると膿は引きはじめた。娘は神のおかげと幾度も拝み、若者に会いに行った。若者も病の癒えた娘と、その後も睦まじく過ごしたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
柏崎市史資料集 民俗篇(柏崎の民俗)――信仰と俗信(柏崎市(編)・柏崎市史)
『柏崎市史資料集 民俗篇(柏崎の民俗)――信仰と俗信』は、柏崎市史の資料集として編まれた民俗篇のうち、第四章「文化伝承」の信仰にかかわる部分を収める。柏崎市域のムラの神社とまつり、雨乞い・虫送りなどの祈願、家の神と屋敷神、民間小祠と路傍の石仏、寺と行事、修験、庚申講や米山講などの講を、聞き書きと「白川風土記」「神社明細帳」などの記録から記す。第六節「俗信」では予兆・占い・禁忌を分類して列挙し、昭和五十八年の熱田神社の年占の結果も載せる。