兜中山のむじなと風呂の祟り
どんな伝承か
上杉謙信の孫が春日山にいたころのことという。兜中山に住むむじなが侍に化け、家来を引き連れてある家へやって来た。明日は「天下の婆さん」、すなわち天下様と呼ばれた家康の祖母が来るので風呂を沸かしておけと命じ、決して風呂の中をのぞかないこと、近くに犬を寄せつけないことを言いつけた。ところが家の者が好奇心からこっそりのぞくと、大きなむじなが尻尾を振って気持ちよさそうに湯につかっていた。驚いた家人が犬をけしかけて追い出したところ、以来その家は不幸が続き、落ちぶれたうえに三度も放火されたという。市史はこれを、呪術をもつ修験者を粗末に扱って不幸が重なった話と読む見方も示す。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
柏崎市史資料集 民俗篇(柏崎の民俗)――信仰と俗信(柏崎市(編)・柏崎市史)
『柏崎市史資料集 民俗篇(柏崎の民俗)――信仰と俗信』は、柏崎市史の資料集として編まれた民俗篇のうち、第四章「文化伝承」の信仰にかかわる部分を収める。柏崎市域のムラの神社とまつり、雨乞い・虫送りなどの祈願、家の神と屋敷神、民間小祠と路傍の石仏、寺と行事、修験、庚申講や米山講などの講を、聞き書きと「白川風土記」「神社明細帳」などの記録から記す。第六節「俗信」では予兆・占い・禁忌を分類して列挙し、昭和五十八年の熱田神社の年占の結果も載せる。