寝床で客を迎えた大ものぐさ
どんな伝承か
近所でも評判になるほどの、大変な怠け者がいた。仕事と名のつくものは何でも嫌いで、その噂はとうとう武州にまで聞こえた。すると、怠けることにかけては武州で右に出る者はないと自負する男が、どちらが上かを決めようとはるばる訪ねて来た。家の者に用件を告げて取り次ぎを頼むと、起き上がるのさえ面倒がる主人は、寝床まで来てくれと返事をよこした。これを聞いた武州の男は、遠い道のりを自分の足でやって来た時点で、自分は怠け者などではなかったと負けを認め、早々に帰っていったという。
原典より
家の人に来意を告げ、案内を乞うと、起きることさえ嫌いな当主は、「それでは、寝床までおこし下さい。」と答えた。—— 栃木市史 民俗編――伝説・民話(栃木市(編)・栃木市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
栃木市史 民俗編――伝説・民話(栃木市(編)・栃木市史)
『栃木市史 民俗編――伝説・民話』は、市史民俗編の第九章「言語伝承」のうち「伝説・民話」と「木遣り」の二節である。芝塚山の太刀割り石、有馬皇子とこのしろ、源義家や弘法大師にまつわる地名伝説、狐の嫁入りやむじなの怪、あづきっとぎなど、市内に伝わる伝説・民話と昔の子供の思い出を収める。前半の十一話には末尾に原話者(一部は採話者も)の名を記し、節の終わりに鳶の木遣りと田歌の詞章を載せる。