酔って化かされた
どんな伝承か
桶川市の東の外れ、旧小針領家村で赤堀川が元荒川に流れ込む少し手前に鍋っ蔓橋が架かる。昔このあたりはススキやアシの茂る湿地と原野で、人家もない寂しい所だった。夏のある日、蓮田へ働きに出た若者二人が帰りに居酒屋で飲み過ぎ、夜半にこの橋まで来た。橋を渡り五町台のほうへ向かうと、元荒川の東岸に赤い提灯の店が見える。一休みしようと北の大御堂橋を回って行くと店は見当たらず、戻るとまた見える。行き来するうちに夜が明け、畑に大木が数本あるばかりだった。化かされたと笑い合った二人は、以後は仕事が済むとまっすぐ帰るようになった。土地の狸が若者を戒めたのだろうという。
原典より
橋を渡り、五町台の方に向かうと、元荒川の東側に赤いちょうちんの店が見えます。—— 桶川市史 第6巻(民俗編)――伝説・昔話(桶川市(編)・桶川市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
桶川市史 第6巻(民俗編)――伝説・昔話(桶川市(編)・桶川市史)
『桶川市史 第6巻(民俗編)――伝説・昔話』は、桶川市の市史のうち民俗を扱う巻で、ここにはその昔話・伝説の部分と第四節「予兆・占い・禁忌・呪い・民間療法」が収められている。昔話・伝説は調査ではほとんど聞かれなかったため、「広報おけがわ」に連載した話を中心に、イットコショダンゴ、古池の大蛇、熊野神社の池の膳椀貸し、狐狸に化かされる話など二十余りを区分せずに載せる。俗信の節は、言い伝えを桶川・加納・川田谷の地区ごとに箇条で並べる。