原の御前荒れ(仏御前)
どんな伝承か
石川県の原村(現小松市原町)に伝わる。秋も半ばを過ぎ、小春日和の晴れた日が二、三日続いたあと、急に天候が変わって雨や風の強い寒い荒れ模様となり、時には霰交じりの日になる。これを原の御前荒れと呼ぶ。原の御前とは仏御前のことで、平家全盛の頃に平清盛に寵愛されたが、それまで寵を受けていた祇王・祇女の姉妹が剃髪して尼となったので、仏御前も姉妹に同情して暇をもらい、故郷の原村へ帰った。その時すでに腹には清盛の子が宿っていたという。美しい御前のもとへ村の若衆や女房持ちの男までが歌や踊りを習いに通うので、娘や女房たちは嫉妬し、事あるごとに御前をいじめた。無事に出産できぬと思った御前は知らぬ土地で産もうと旅立ち、山越で別宮に出て木滑あたりで腹が痛みだし、路傍の石に腰を下ろして休んだが、在所の老婆たちの世話も及ばず死んだという。以来、原の女が子を産むときは、御前を追い立てた罰で天気が荒れるといわれる。
原典より
原の御前荒れは、秋も中頃を過ぎると春の天候と同じく、南方の暖かい太平洋の高気圧が北陸方面に張り出し、小春日和の良い天気になり、秋を忘れさすような晴れた日が二、三日続く。—— 河内村史 下巻(民俗編)――白山麓の伝説(河内村(編)・河内村史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
河内村史 下巻(民俗編)――白山麓の伝説(河内村(編)・河内村史)
『河内村史 下巻(民俗編)――白山麓の伝説』は、白山麓の河内村の村史の民俗編から、民話・伝説と故事を記した節を収めたものである。白山の千蛇ヶ池や富士山との背くらべ、高ボウケの大蛇、猿仏の名号、おひなの荒、天狗、菊酒、池の金山の伝説など、村と周辺に伝わる話を、白山関係の古文書や郡誌を引きながら記す。第三節「民話 伝説」、第四節「故事 伝説」、第五節「伝説」に分け、話ごとに題を立てて由来や現地のようすを添えている。