鶴来の菊酒
どんな伝承か
菊酒は石川郡鶴来に産した名醸で、盃に残った滴が底に集まるとき、ちょうど菊の花の形をなすことからその名を得たという。のちに金沢石浦町の酒造業紙屋九右エ門も造り、遅川の水を汲んで醸したから菊酒だというが、これは附会であろうという。鶴来の産が金沢より古いことは、言継卿記の大永四年四月十九日の条に「阿仏房菊酒皆々に可申条由候」とあり、白山宮長吏の阿仏房澄祝が京で菊酒を斎して人々に振舞ったと分かることからも知られる。文政六年には富田景周が菊酒考を著し、白山比咩神社の祭神菊理媛命との関係を説いた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
河内村史 下巻(民俗編)――白山麓の伝説(河内村(編)・河内村史)
『河内村史 下巻(民俗編)――白山麓の伝説』は、白山麓の河内村の村史の民俗編から、民話・伝説と故事を記した節を収めたものである。白山の千蛇ヶ池や富士山との背くらべ、高ボウケの大蛇、猿仏の名号、おひなの荒、天狗、菊酒、池の金山の伝説など、村と周辺に伝わる話を、白山関係の古文書や郡誌を引きながら記す。第三節「民話 伝説」、第四節「故事 伝説」、第五節「伝説」に分け、話ごとに題を立てて由来や現地のようすを添えている。