盆皿の歌とオフジ
どんな伝承か
熊本県河内町(現・熊本市西区河内町)に伝わる継子譚。昔、オフジとオタケという二人の娘がいて、オフジは継子であった。ある日オフジが川で大根を洗っていると殿様が通りかかり、「働き者で器量も良い、もう少し背が高ければ嫁にするが」と言った。オフジは「山々のつつじつばきを御覧じろ、背は低けれど花はさきまし」と歌で答え、殿様はその知恵に驚いて嫁に迎えようとした。継母は実子オタケを着飾らせて替え玉にしたが、盆に皿・塩・松を据えて歌を詠ませる難題に、オタケは詠み込むだけで応じられず、奥に押し込められていたオフジが見事に詠んだ。かくしてオフジは殿様のもとへ迎えられたという。
原典より
オフジは「盆皿や盆皿や、や皿が岳に松植えて塩にもまれて泣く私かな」と詠んだ。—— 河内町史 民俗編――昔話・伝説(河内町(編)・河内町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
河内町史 民俗編――昔話・伝説(河内町(編)・河内町史)
『河内町史 民俗編――昔話・伝説』は、河内町の町史の民俗編のうち、子守歌と昔話・伝説を収めた部分である。伝承者の名を添えた子守歌二編と、昔話と伝説の違いを述べた前置きに続き、継子譚・異類婚姻譚・和尚と小僧・愚か婿など全国に分布する型の昔話と、岩戸の観音、金峰山と飯田山、小野小町、弘法大師にまつわる土地の伝説を、第一話から第三十八話まで番号を振って並べる。多くの話には話型の名や類話の広がりを短く添える。