尊に蓑を献じた農夫と蓑毛の名
どんな伝承か
日本武尊が勅を奉じて東国の蝦夷征伐に出て、その帰途、今の蓑毛の地でにわか雨に遭われた。尊に雨具のないのを知った農夫が、我が家から蓑を取り出して献じた。尊が「心の直き者よ、此の地を何とよぶか」と問うと、農夫は「開けて間もない村にして名づけてございません」と答えた。そこで尊は、お前の親切な心にちなんで蓑毛と名づけたらどうかと言われ、以来この里を蓑毛と称するようになったという。雨降山へ登ろうとしたとき雨がやんだので御蓑を置いた所、という別伝もある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪(秦野市(編)・秦野市史)
『秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪』は、神奈川県秦野市の市史のうち、民俗編の口承の部分を収めたものである。前半には市内で聞き取った動物・神仏・妖怪・人や村に関する話を地区名とともに載せ、河童やセンタク婆さん、グアン婆さんなどの妖怪譚を含む。後半の第四節「伝説」は一テーマ一話の方針で百話を採り、動物・植物、水、石・岩、山・坂・道・畑、塚、祠堂、家・村の七つに分け、既刊の類話を〔文献〕として要約して添える。