生き埋めの雲水が妖火を上げた道永塚
どんな伝承か
寺山には道永塚がある。昔の波多野城がつぶれた当時の話で、ここは古戦場、合戦で戦死者がたくさん出た。帰るところへ到達できない魂があのあたりに亡霊となって、モエカビのように舞っているのだという。文献によれば、寺山の南の三叉路に三坪ほどの塚があり、塚上に道永墓が一基ある。諸国修行の雲水道永が、大山石尊山の住職良弁の功をねたんで火を放ち、逃げたところを村民に捕らえられ、大穴を掘って生き埋めにされた。その後、塚から夜ごと妖火が上がって人が近づかなくなったので、村人が相談して追善供養し亡霊を弔うと、妖火は絶えたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪(秦野市(編)・秦野市史)
『秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪』は、神奈川県秦野市の市史のうち、民俗編の口承の部分を収めたものである。前半には市内で聞き取った動物・神仏・妖怪・人や村に関する話を地区名とともに載せ、河童やセンタク婆さん、グアン婆さんなどの妖怪譚を含む。後半の第四節「伝説」は一テーマ一話の方針で百話を採り、動物・植物、水、石・岩、山・坂・道・畑、塚、祠堂、家・村の七つに分け、既刊の類話を〔文献〕として要約して添える。