なでればイボが治る穴のあいた大石
どんな伝承か
下大槻のお天王様(健速神社)には、中に穴のあいた大きな石がある。名前のない石だが、この石で手をこすってから体をなでると、いぼやおできが治るといわれた。子どものころは「お天王様にお参りに行こう」と、おばあさんによく連れて来られたものだという。願いがかなって治ると、河原からきれいな石を拾って来て穴に入れる。そのため大石のそばを掘るときれいな石がたくさん出てきて、それで遊んだという友だちもいた。文献には、馬場のイボ神様はもとは庚申供養仏で、明治以後にいぼ取りの神とされ、小田原の人が海岸のきれいな石を供えたのが始まりだと記されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪(秦野市(編)・秦野市史)
『秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪』は、神奈川県秦野市の市史のうち、民俗編の口承の部分を収めたものである。前半には市内で聞き取った動物・神仏・妖怪・人や村に関する話を地区名とともに載せ、河童やセンタク婆さん、グアン婆さんなどの妖怪譚を含む。後半の第四節「伝説」は一テーマ一話の方針で百話を採り、動物・植物、水、石・岩、山・坂・道・畑、塚、祠堂、家・村の七つに分け、既刊の類話を〔文献〕として要約して添える。