大樽橋の先住民の死霊
どんな伝承か
大樽川にかかる大樽橋は昭和六年に架け換えられたが、そのとき土堤を掘っていた人が石杵や石皿、石鏃を掘り当て、そこが竪穴式住居跡だとわかった。ところが土地の地主がそれらの遺物を家に持ち帰って自慢しはじめると、病人が次々に出て、工事に働く人々の間にも奇病が流行し、橋の工事が続けられなくなった。あわてた地主が遠山の巫女に神おろしをしてもらうと、竪穴はエゾ先住民の住居跡で、住居を荒らした者は男一人女一人を殺してやるという。掘ったところを埋めてねんごろに供養し、ようやく架け換えを終えた。今も地主は祟りを恐れてその場所に手をふれないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
米沢市史 民俗編――伝説(米沢市(編)・米沢市史)
『米沢市史 民俗編――伝説』は、米沢市が編んだ市史の民俗編から、第八章「口承文芸」第三節「伝説」を収めたものである。狐・河童・蛇にまつわる話、上杉家の家臣や弘法大師・源義経にちなむ話、沢・池・岩の由来、地蔵や不動尊の霊験、温泉の開湯譚、長者屋敷など、米沢とその周辺に伝わる伝説を一話ずつ短くまとめて載せる。全体を「鳥獣・草木」「人霊」「山・川・湖沼」「地蔵・社寺」「温泉・町・村」の五項に分け、遠山と田沢の七不思議も列挙する。