弘法大師が掘った塩井と大根
どんな伝承か
塩井には昔、塩のとれる井戸があったが、ある夏に井戸が枯れて人々は塩不足に苦しんだ。そのとき、一夜を温かく迎えてくれた老婆のために、弘法大師が錫杖で再び塩井を掘ってくれたという。また上郷を歩いていた大師が喉の渇きを覚えて水を所望すると、村人は親切にも村の端の井戸まで行って汲んできた水を差し出した。その親切に感じ入った大師は、八幡原のような荒地にも生える大根の種子を与えたと伝わる。ほかに、大師が親切な女中に顔を拭くと美人になる手拭を与えたが、それを取り上げた奥方が顔を拭くと馬のような長い顔になってしまったという話も伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
米沢市史 民俗編――伝説(米沢市(編)・米沢市史・自治体史(民俗))
『米沢市史 民俗編』第八章口承文芸所収の伝説。山形県米沢市に伝わる鳥獣草木・山川湖沼・地蔵社寺の伝説を採録する。