弘法大師が掘った塩井と大根
どんな伝承か
塩井には昔、塩のとれる井戸があったが、ある夏に井戸が枯れて人々は塩不足に苦しんだ。そのとき、一夜を温かく迎えてくれた老婆のために、弘法大師が錫杖で再び塩井を掘ってくれたという。また上郷を歩いていた大師が喉の渇きを覚えて水を所望すると、村人は親切にも村の端の井戸まで行って汲んできた水を差し出した。その親切に感じ入った大師は、八幡原のような荒地にも生える大根の種子を与えたと伝わる。ほかに、大師が親切な女中に顔を拭くと美人になる手拭を与えたが、それを取り上げた奥方が顔を拭くと馬のような長い顔になってしまったという話も伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
米沢市史 民俗編――伝説(米沢市(編)・米沢市史)
『米沢市史 民俗編――伝説』は、米沢市が編んだ市史の民俗編から、第八章「口承文芸」第三節「伝説」を収めたものである。狐・河童・蛇にまつわる話、上杉家の家臣や弘法大師・源義経にちなむ話、沢・池・岩の由来、地蔵や不動尊の霊験、温泉の開湯譚、長者屋敷など、米沢とその周辺に伝わる伝説を一話ずつ短くまとめて載せる。全体を「鳥獣・草木」「人霊」「山・川・湖沼」「地蔵・社寺」「温泉・町・村」の五項に分け、遠山と田沢の七不思議も列挙する。