独りでに廻る北山原の念仏車
どんな伝承か
北山原はキリシタン殉教者である甘粕右ェ門一族十五名が斬首された場所である。近くに住む金沢家は、ひそかに殉教者の霊をなぐさめるため、役人の目をはばかって念仏車を建てた。ところが誰言うとなく、夜になると誰もいないのに念仏車が廻り、カラカラと音を立てるという噂が立った。雪の夜に念仏車へ手を伸ばしてキリシタンの呪文を唱えている女を見た人が気絶したこともあったといい、いつしか「幽霊の念仏車」という評判も立った。そこで金沢家では念仏車を石製にして、車が廻らないようにしたという。米沢のキリシタン二大殉教は甘粕家と公家山浦玄蕃のものである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
米沢市史 民俗編――伝説(米沢市(編)・米沢市史)
『米沢市史 民俗編――伝説』は、米沢市が編んだ市史の民俗編から、第八章「口承文芸」第三節「伝説」を収めたものである。狐・河童・蛇にまつわる話、上杉家の家臣や弘法大師・源義経にちなむ話、沢・池・岩の由来、地蔵や不動尊の霊験、温泉の開湯譚、長者屋敷など、米沢とその周辺に伝わる伝説を一話ずつ短くまとめて載せる。全体を「鳥獣・草木」「人霊」「山・川・湖沼」「地蔵・社寺」「温泉・町・村」の五項に分け、遠山と田沢の七不思議も列挙する。