誕生川の名を負う千手観音
どんな伝承か
上小菅の千手観音は、置賜三十三観音の札所の第一番に数えられる。上杉鷹山の世に、某氏の暗殺をたくらんだ青木某ら数人の藩士が、月見の宴にかこつけて密議をこらしたのがこの場所だとも語られている。堂は誕生川のほとりに建つが、川の名は観音がここで誕生したことに由来するのだという。いま一つの説では、いつの頃か川上の落合沢から洪水のたびに大きな楠が流れ下り、その材で三十三体の観音像を刻んだために誕生川と呼ぶようになったと伝える。地名の由来を二通りに語り分けている点がこの条の特徴である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
米沢市史 民俗編――伝説(米沢市(編)・米沢市史)
『米沢市史 民俗編――伝説』は、米沢市が編んだ市史の民俗編から、第八章「口承文芸」第三節「伝説」を収めたものである。狐・河童・蛇にまつわる話、上杉家の家臣や弘法大師・源義経にちなむ話、沢・池・岩の由来、地蔵や不動尊の霊験、温泉の開湯譚、長者屋敷など、米沢とその周辺に伝わる伝説を一話ずつ短くまとめて載せる。全体を「鳥獣・草木」「人霊」「山・川・湖沼」「地蔵・社寺」「温泉・町・村」の五項に分け、遠山と田沢の七不思議も列挙する。