猿が浴びていた湯の沢の霊泉
どんな伝承か
義経の家臣に源八兵衛広綱という武将がおり、主が都を落ちる際、後の始末を弁慶に託して在所へ引きこもったという。小野川温泉の南にある源八前がその跡地だと伝える。広綱のもとを離れた下男の文五郎が山中で野宿しようとすると、岩の間から湯煙が立ちのぼり、十数匹の猿が浸かっていた。猿が去るのを待って近づくと確かに湯が湧いており、足を入れてみると重かった足が軽くなった。疲れの抜けた文五郎は里へ下りて、この湯のことを村人に知らせた。これが湯の沢である。慶応二年には上郷の川井の富五郎が訪れ、炉石や土器、経石を掘り出したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
米沢市史 民俗編――伝説(米沢市(編)・米沢市史)
『米沢市史 民俗編――伝説』は、米沢市が編んだ市史の民俗編から、第八章「口承文芸」第三節「伝説」を収めたものである。狐・河童・蛇にまつわる話、上杉家の家臣や弘法大師・源義経にちなむ話、沢・池・岩の由来、地蔵や不動尊の霊験、温泉の開湯譚、長者屋敷など、米沢とその周辺に伝わる伝説を一話ずつ短くまとめて載せる。全体を「鳥獣・草木」「人霊」「山・川・湖沼」「地蔵・社寺」「温泉・町・村」の五項に分け、遠山と田沢の七不思議も列挙する。