首のない子と畝の立たぬ病田
どんな伝承か
昔、中田に強欲な庄屋がいた。子持ちの下女が実家の母の急病を知らされ、看病を願い出たところ、庄屋はこのいそがしい時に許せぬが田うないを全部終えたら許してやると言う。下女は母の病気を思い、かんかん照りの田んぼで朝早くから田おこしをした。背中の子が乳欲しさに泣くのも我慢し、ようやく陽が沈む頃に終えて子を降ろすと、子の首がなくなっていたという。庄屋が首を持って行ったに違いないと、下女は泣く泣く首のない子を背負って実家に帰った。次の年からその田は畝を起こしても翌朝には畝がなくなり、村の人も庄屋の田は「病田」だと近寄らなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
米沢市史 民俗編――伝説(米沢市(編)・米沢市史)
『米沢市史 民俗編――伝説』は、米沢市が編んだ市史の民俗編から、第八章「口承文芸」第三節「伝説」を収めたものである。狐・河童・蛇にまつわる話、上杉家の家臣や弘法大師・源義経にちなむ話、沢・池・岩の由来、地蔵や不動尊の霊験、温泉の開湯譚、長者屋敷など、米沢とその周辺に伝わる伝説を一話ずつ短くまとめて載せる。全体を「鳥獣・草木」「人霊」「山・川・湖沼」「地蔵・社寺」「温泉・町・村」の五項に分け、遠山と田沢の七不思議も列挙する。