狐の凍る尾と身上あがる座頭
どんな伝承か
今泉で語られた二話。一つは狐と川獺の話で、川獺に魚をふるまわれた狐は、返礼の座で「天井まぶり」「地まぶり」を言いつかったと言い張って何も出さなかった。後に魚の獲り方を教わろうとした狐は、尾を水に浸して待てと言われ、凍りついた尾を引き抜いて失う。もう一つは、泊めた座頭が井戸に落ち、引き上げるとき上で「しんしょ」と唱えると下から「あがるようだ」と応じ、翌朝は寝床に大金が残されて家の身上が上がった。真似た隣の家は座頭を突き落とし、「下がるようだ」と応じられて身上を下げたという。
原典より
昔、狐とカオス(川獺)がいでない。—— 船引町史 民俗編――昔話と伝説(船引町(編)・船引町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
船引町史 民俗編――昔話と伝説(船引町(編)・船引町史)
『船引町史 民俗編――昔話と伝説』は、船引町が編んだ町史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。昭和五十三年春から町内を回って集めた昔話を話者の名を添えて土地の言葉のまま載せ、坂上田村麻呂や安倍貞任にまつわる地名・社寺の由来など町内の伝説を併せて記す。第一節では語り収めの句、葉煙草ののし作業を語りの座とした伝承の環境、語り手の系譜を論じ、第二節では伝説を自然・歴史・宗教の三つに分けて紹介する。