堀切橋の上で消えた一把の練
どんな伝承か
荒川放水路の堀切橋で語られた怪異の一つ。ある白昼、三人の小娘が柳原の方から対岸へ使いに出た。そのうち十四になる娘が練を一把持っていたが、橋の中央まで来たところで突然倒れ、起き上がったときには手にしていた練が消えてなくなっていた。川獺の仕業か狐の仕業かと噂されたが、白昼に練が忽然と失せるのはいかにも不思議であったと伝わる。堀切橋にまつわる四つの怪異のうちの一つに数えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫・1938年(昭和13年))
『日本怪談実話』は、田中貢太郎が昭和十三年に著した実話怪談集を河出文庫に収めたものである。明治以降に著者が聞き集めた怪異を報告調の短文で綴り、戦地の霊験や戦死者の知らせ、狐狸・天狗・海坊主、トンネルや自動車に現れる女、幽霊写真、狐狗狸などを扱う。元本は改造社刊の『新怪談集(実話篇)』で、冕言に始まって二百を超える小話を並べ、巻末に川奈まり子の解説を付す。