堀切橋の怪異の発端となった女工の怪死
どんな伝承か
荒川放水路に架かる堀切橋で怪異が語られるようになった発端は、鐘淵紡績の女工の怪死であった。この女工は後藤菊太郎という人の妻で、橋の上で変死を遂げた。伝える人によれば、彼女の怪死は堀切橋に起こった数々の怪異のうち四番目にあたるという。千住署では不良の仕業ではないかと捜査を続けていたが、その結末がどうなったかは筆者も聞かずじまいであったと記されている。以後この長い橋には、滑面の顔や蟷螂の怪など様々な怪談がまつわりついた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫・1938年(昭和13年))
『日本怪談実話』は、田中貢太郎が昭和十三年に著した実話怪談集を河出文庫に収めたものである。明治以降に著者が聞き集めた怪異を報告調の短文で綴り、戦地の霊験や戦死者の知らせ、狐狸・天狗・海坊主、トンネルや自動車に現れる女、幽霊写真、狐狗狸などを扱う。元本は改造社刊の『新怪談集(実話篇)』で、冕言に始まって二百を超える小話を並べ、巻末に川奈まり子の解説を付す。