海音如来の御札と新三郎の死
どんな伝承か
新幡随院の良石和尚は、新三郎につきまとうのは口惜しくて出る幽霊ではなく、ただ恋しい恋しいと思う幽霊であると説き、死霊除けに海音如来という大切な守りを貸してやった。丈は四寸二分、金無垢の像で厨子に納まっている。この像を身体に抱いて経文を唱え、また御札を家の諸所に貼るがいいと教えた。お露主従は御札のために新三郎の家へ侵入できなくなる。そこでお米は才覚して伴蔵の家に入り、御札を除いてくれと頼んだ。伴蔵の女房おみねは百両くれるなら除くと伴蔵をそそのかし、お米が承知したので、伴蔵は如来像を盗み御札を剥がして百両をせしめた。翌朝、新三郎は屍骸で発見された。
原典より
お米は承知し、伴蔵は如来像を盗み、御札を剥がし百両をせしめた。—— 怪談の世界(山田野理夫・1978年(昭和53年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪談の世界(山田野理夫・1978年(昭和53年))
『怪談の世界』は、山田野理夫が昭和五十三年に著した怪談の研究随筆である。遠野での佐々木喜善と柳田国男の出会いから説き起こし、家・山・木・石・道・水・火に現れる妖怪、憑き物、鬼と天狗、生霊・死霊・幽霊の話を、著者の聞き書きや各地の民俗資料、古典・芝居から集め、沖縄の話で結ぶ。章立ては江馬務と柳田国男の妖怪分類を参考にしたもので、民俗学の資料と文学作品の両面から怪談をとらえようとしている。