風が獣のように鳴く平山城址公園
どんな伝承か
著者が東京・日野市の平山城址公園へ移り住んだのは昭和五十二年の夏である。小さな城址だという。ここでは風が吹くたびに、山の獣が鳴いているとしか思えない音が立つ。移った当初は、近くの多摩動物園にいる獣の声と取り違えたほどであった。著者は日本アルプスの眺めを好んで折々出かけており、この城址に響く風の音を書き起こしとして、山にまつわる怪を訪ねていく。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪談の世界(山田野理夫・1978年(昭和53年))
『怪談の世界』は、山田野理夫が昭和五十三年に著した怪談の研究随筆である。遠野での佐々木喜善と柳田国男の出会いから説き起こし、家・山・木・石・道・水・火に現れる妖怪、憑き物、鬼と天狗、生霊・死霊・幽霊の話を、著者の聞き書きや各地の民俗資料、古典・芝居から集め、沖縄の話で結ぶ。章立ては江馬務と柳田国男の妖怪分類を参考にしたもので、民俗学の資料と文学作品の両面から怪談をとらえようとしている。