旅人の目印の柿の木から生まれた地名
どんな伝承か
柿木町はいまでこそ市の中心から外れた印象があるが、町内の古い社寺が開拓の古さを物語っている。まだ開けていなかったころのこの地は、西の大宮台地と東の流山・下総台地のあいだにあって、東西を行き来する人々がひと息つく場所だった。亀の甲のように盛り上がった小高い丘があり、遠くからも見える大きな柿の木が一本立っていて、人々はそこで握り飯を食べ汗をぬぐったという。もとは丘だけだったが、休む人が捨てた柿の種が芽吹いて育ったものらしく、あの柿の木まで行って休もうと言い交わすうちに、あたり一帯が柿の木と呼ばれるようになった。いまは木も丘も残っていない。
原典より
丁度、休憩におあつらい向きの、もっこりと亀の子の背中のような形をした小高い丘があって、そこには、遠くからも眺められる一本の大きな柿の木が立っていた。—— 草加市史 民俗編――伝説(草加市(編)・草加市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
草加市史 民俗編――伝説(草加市(編)・草加市史)
『草加市史 民俗編――伝説』は、草加市史民俗編のうち「二 伝説」の章である。地名起源・塚・神々・地蔵・薬師・観音・その他の神仏・旅の僧・動物と妖怪の九節で、柿木や青柳の地名の由来、毛長神社の御神体、疣地蔵や火あぶり地蔵、雨乞いの龍、むじな大尽などを、『新編武蔵風土記稿』や縁起碑、土地の伝えによって記す。第十節「世間話」は狐・むじな・狸・雷獣の聞き書きを集め、話ごとに町名と話者の頭文字・生年を添える。