持ち出すと病を招く刀と陣笠
どんな伝承か
幕末の騒がしいころ、灰取街道を歩いてきた一人の武士が、犬井まで来て病に倒れ動けなくなった。土地のある家が手厚く介抱したところ、武士はほどなく回復し、礼にと携えていた刀と陣笠を置いてどこへともなく去っていった。のちにこの話を聞きつけた者が、刀を貸してくれと頼んで家の外へ持ち出すと、決まって原因の分からぬ病にかかったという。刀と陣笠は今もその家に伝わっている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
西春町史 民俗編2――霊と神・祈禱・怪異(西春町(編)・西春町史)
『西春町史 民俗編2――霊と神・祈禱・怪異』は、西春町が編んだ町史の民俗編である。九之坪・岡・沖村・石橋など町内の各ムラに残る御嶽山や塚、堂、小祠、石塔、家の神、祈禱師、祈願と参詣、霊威と祟り、狐や狸の怪異と憑きものを、聞き書きと『徇行記』や村絵図などの記録から記す。霊と神、祈願と参詣、霊威と怪異の三節に続けて、第十二章の伝説の節を大字ごとの十九項に分けて並べ、五条川の大蛇の目撃談で結ぶ。