伊勢の田植は朝十時前不可
どんな伝承か
全国の慣習調査で報告された田植えにまつわる言い伝えの一つに、新潟県聖籠村の「六月六日、伊勢の田植には朝十時前に田植えをやらない」という禁忌がある。田植えの日取りにまつわる俗信は、戌の日や辰の日、酉の日を避けるといった各地の例とともに報告され、仕事の始めを吉日に定めようとする人々の願いや、限られた労力と水を無理なく使おうとする農耕の知恵が背景にあるのではないかと論じられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の俗信 1――迷信の実態(迷信調査協議会(編)・日本の俗信・1949年(昭和24年))
『日本の俗信 1――迷信の実態』は、迷信調査協議会が編み、昭和二十四年に初版を出した迷信調査の報告書で、昭和五十四年に洞史社が復刻した。文部省が昭和二十一年に企画し、全国の小学校を通じて行った慣習状況調査をもとに、暦・日の吉凶・方角・妖怪・占い・民間療法・農漁業にまつわる迷信を統計と解説で扱う。第一章を古畑正秋・今野圓輔らの分担執筆とし、第二章に昭和二十四年度調査の手引、第三章に各地の言い習わし集、第四章に天文暦法の迷信の解明を置く。